【Global Report】新興国インフラの良し悪しはコストに跳ね返る!
(連載第1回)新興国の物流最前線
坂東です、皆様初めまして。現在私は日通総研の新しい事業を考えて企画をしたり、立ち上げたりする部署の責任者をしております。このニュースレターを含む情報発信も新しい企画の一つです。今後も皆様に有益な情報を提供していきますのでよろしくお願いいたします。
私が 6 年前日通総研に来た時は、お客様から海外事情や進出に関する相談がかなり増えてきている状況でした。そこで海外に関する調査・コンサルティングの専門チームを立ち上げて、これまでアセアン諸国、インド、ブラジル、メキシコ、ロシア、トルコ、ドバイなどの新興国に実際に足を運んで現地での調査を行ってきました。このコーナーでは現地で実際に見て聞いてきた情報を分かりやすくご提供していき、海外でのビジネスをご検討の方、日本との違いを知りたい方などにご興味を持っていただければと思います。
さて、我々は海外物流事情のトピックでよく講演をさせていただいております。その時に「タイの道路は日本以上に良い」、「(どこどこの)港湾インフラが古い」などと頻繁に言っております。お客様の中には「インフラがどうのって興味ないな~、物流会社にはキチンとウチの物を運んでくれればそれでいいんだよ」という方も多々いらっしゃいます。確かにそうなんですが、実はインフラの良し悪しは全て皆様の製品のコストに跳ね返ってくるのです。
皆様が製品をタイとお隣のミャンマーに輸出するケースを例にとりましょう。詳細は割愛しますが、タイとミャンマーでは港湾や道路などのハードインフラ、通関手続きや法制度などのソフトインフラ、両方ともタイの方が圧倒的に優れています。
写真 1:タイ バンコク近郊の高速道路
道路インフラも走るトラックも日本とほぼ変わらない
タイの港湾に着いた皆様の製品は船から陸揚げされ、輸入通関手続き、国内指定地への輸送と続きますが、タイでの陸揚げ作業、通関手続きは日本とほぼ変わらない効率性で事が進みます。タイの道路インフラは写真のとおり日本以上のキレイさで、トラックも新しく、これも日本と同レベルのスピードや品質が見込めます。(バンコク市内に入ると渋滞は凄いですが…。)これがミャンマーの場合、まず近代的なクレーンがある港湾が限られています。通関手続きは複雑で、輸入するのに 5~7 日かかる場合もあります(日本やタイは通常1日)。ミャンマーは国内の陸運輸送も問題点が多いです。最近では新しいトラックが入ってきているものの、まだ大半が古い中古トラックで、燃費も良くなさそうですし、ちょくちょく故障で止まっているのを見掛けます。道路はデコボコで狭く、皆様 の製品が壊れないように追加の梱包が必要になる(コストアップ要因)ケースも多く、狭い道に故障車がブロックなんかしていると、いつ着くか分からない…、なんて事が日常茶飯事です。時間がかかって非効率なものには、どうしてもコストが余計にかかってしまいます。
写真 2:ミャンマーのトラックターミナル
古いトラックが多く非効率
次回以降は、各国の具体的な状況について報告していきたいと思います。また特定の国やトピックについて知りたい、こんな情報が聞きたい、ということがあれば、是非編集部宛にご連絡ください。できるだけご期待に沿った情報を書いていきたいと思います。