【Global Report】ラストフロンティアの貨物駅は昭和の日本だった
(連載第2回)新興国の物流最前線
前回は新興国のインフラ事情がコストに跳ね返ることをタイとミャンマーの例で説明しました。今回からはアセアンの一番西、ラストフロンティアとも呼ばれる「ミャンマー」の物流現場とインフラ事情についてご紹介していきたいと思います。
ミャンマーの首都は中部の「ネピドー」に移りましたが、経済の中心は旧首都でミャンマーの最大都市である「ヤンゴン」です。
出所:外務省ホームページより 日通総研作成
メインの空港や港湾もヤンゴンにあり、輸出入の 9 割以上がヤンゴンで行われています。鉄道やトラックでの輸送もヤンゴンを基点にマンダレーなどミャンマー各都市へ輸送されます。
まずそんなヤンゴンでの鉄道荷役の現場が次の写真です。
写真 1:ヤンゴン ボータタウン 貨物駅での荷役作業
これは貨物駅で鉄線を貨車に積み込んでいる現場です。日本人のベテラン物流マンをここに連れて来ると結構な確率で「日本の昭和 30-40 年代の現場のようだ、懐かしい~」とまるで映画「三丁目の夕日」を観た時のようにノスタルジーに浸って喜びます。(私にはさっぱり分かりません!)ノスタルジックになるのはいいとして、作業自体は炎天下に 6-7 人を掛けて行っており非常に非効率です。サンダル履き、素手での荷役 …。う~ん、安全管理という概念もあまり無い模様。日本であればフォークリフトを使って 5 分で完了しそうですが。作業場所も土がむき出しており、雨が降るとドロドロになります。
この貨物はマンダレーまで 24 時間くらいかけて輸送されるとの事ですが、いつ出発して、いつ到着予定なのかは決まっていないそうです。「荷物が集まったら出発」というケースも多々あるとか。線路の老朽化が原因でスピードが出せず、ゆっくり走ります。そのため時間はかかる反面振動は少なくなり、貨物の破損の心配はあまり無いようです。良いのか悪いのかよくわかりませんね。
ミャンマーでは物流における定時性と品質にはまだまだ課題が多いと言っていいでしょう。
写真 2:こちらは屋根のある所で肥料の荷積み
写真 3:荷積み後シートで覆って出発を待つ