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かつ大品輸送における各許可条件の緩和状況

かつ大品輸送における各許可条件の緩和状況

前回のブログ記事「かつ大品輸送の限界はどこまで?」で述べたように、かつ大品輸送に関しては3つの法律「道路運送車両法(国土交通省:運輸局)」、「道路法(国土交通省:道路局)」、「道路交通法(警察庁)」により、各々事業の健全性と安全性を担保するためにその諸元が規制されています。
しかし、近年の「規制緩和」において、許可条件値(規制値)が一部緩和されているので現状を記載します。

1.道路運送車両

1-1.優良事業者における緩和車両の認定期間延長(令和4年3月)

【緩和のポイント】
 道路運送車両法の基準緩和を受けた車両に関しては、一定期間毎にその基準緩和の更新が必要となります。

【緩和前】            
・新規取得後:2年間有効
・初回の継続緩和後の有効期間(新規取得から2年後)
 要件を満たす自動車(*):3年間有効
 その他の自動車     :2年間有効
・2回目以降の緩和更新後の有効期間
 要件を満たす自動車(*):4年間有効
 その他の自動車     :2年間有効

【緩和後】
・新規取得後:2年間有効・・・・不変
・継続緩和後の有効期間(新規取得から2年後)
 要件を満たす自動車(*):無期限有効
 その他の自動車     :4年間有効
 に緩和されました。

(*)要件を満たす自動車とは、
「安全性優良事業所認定(Gマーク)を受けている事業所が基準緩和を申請する自動車で、前回の基準緩和認定日から継続緩和申請日までの間に重大事故や基準緩和自動車の行政処分が無いこと」

以上を表記すると以下の様になります。
優良事業者における緩和車両の認定期間延長(令和4年3月)
出所:国土交通省資料より抜粋

1-2.バン型等のセミトレーラにおけるトラクタ駆動軸重の緩和

道路運送車両法では、「車両の軸重は10トンを超えてはならない」と規定されていましたが、近年の国際コンテナ重量や日本の牽引用トラクタの使用状況(2軸トラクタが多い)等の実情に合わせて「バン型等のセミトレーラをけん引する2軸の認証トラクタの駆動軸に限り11.5トン」に緩和されました。

バン型等のセミトレーラにおけるトラクタ駆動軸重の緩和
出所:全日本トラック協会資料より抜粋

2.道路法

特殊車両通行許可での条件「前後に各1台の誘導車(合計2台)」が「1台に緩和」され、「C条件及びD条件」における誘導車の配置は1台となりました。(令和4年4月)

道路法においては、「特殊車両通行許可証」の付随条件として、「誘導車の配置」が義務付けられる場合があります。これは、以下の理由によるものです。

2-1.車両重量により条件が付加される場合

同一橋梁を許可車両と一般車両が同時に走行した場合、橋梁の耐荷重をオーバーする場合があるので、重量による許可条件C条件及ぶD条件においては「誘導車の配置」が義務付けられています。

【改正前】
・前後に各1台(合計2台)の誘導車を配置し、
 C条件・・・・同一径間・同一車線の一般車を排除
 D条件・・・・同一径間・隣接車線の一般車を排除
(上下2車線の場合は対向車線の一般車も排除)

【改正後】
1台の誘導車でケース毎の誘導方法を採用
 C条件・・・(誘導車は後方配置)同一径間・同一車線の一般車を排除し徐行
 D条件・・・(誘導車は後方配置)同一径間・隣接車線の一般車を排除し徐行
 (隣接車線に一般車両が進入してしまった場合には、許可車両は一時停止し待機、一般車両が同橋梁を通過後に輸送を再開する)

【車両総重量による規制C,D条件の誘導車の誘導方法】

車両総重量による規制C,D条件の誘導車の誘導方法
出所:国土交通省資料より抜粋

2-2.寸法により条件が付加される場合

道路の物理的形状により、許可車両の長さ、幅の関係で隣接車線や対向車線に部分的・一時的にはみだし、一般車両との事故を防止するために誘導車の配置が義務付けられています。

【改正前】
・前後に各1台(合計2台)の誘導車を配置し、交差点・狭隘部・狭隘トンネルの通過時に、許可車両の誘導・一般車両への注意喚起を義務付けられていました。

【改正後】
1台の誘導車で通行場所・通行方法のケース毎の誘導法(基本:前方配置)を採用
車両寸法による許可条件はC条件のみで、交差点・狭隘部・トンネル部での誘導
方法は以下の様に指示されています。

【寸法による規制C条件による誘導車の誘導方法】
寸法による規制C条件による誘導車の誘導方法
出所:国土交通省資料より抜粋

2-3.誘導車の運転者資格に関して

誘導車の運転者に対しては、「誘導者の運転者に関わる講習を受講」し、その「受講修了書」を携行することが義務付けられました。

2-4.その他

「車幅3mを超える特殊車両の通行時間帯(現状:21時~6時)の緩和」においても現在検討が進められています。

3.道路交通法

道路交通法においては、一般車両との事故を防止するため「積載時の車両長・車両幅・高さに」関して条件が付加されます(重量に関しては最大積載重量以下)。この条件が一部緩和されました。(令和5年5月)

 【改正前】
・積載物の長さ・・・車両長×1.1倍以下、かつ前後のはみ出しも車両長の0.1倍以下
・積載物の幅・・・・車両幅以下(はみ出し禁止)

 【改正後】
・積載物の長さ・・・車両長×1.2倍以下、かつ前後のはみ出しは車両長×0.1倍以下
・積載物の幅・・・・車両幅×1.2倍以下、かつ左右のはみ出しは車両幅×0.1倍以下

図で具体的に示すと以下の様になります。

【積載物の長さ・幅及びはみ出し寸法の緩和(令和5年5月)】

積載物の長さ・幅及びはみ出し寸法の緩和(令和5年5月)
出所:全日本トラック協会資料より抜粋

【注記】
 なお、本記事の緩和状況に関しては、2023年12月までの確認分としています。
 今後、更に緩和が進むことも考えられ、逐次確認が必要です。

(この記事は、2024年2月29日時点の情報をもとに書かれました。)

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