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欧州最大の港 ロッテルダム港を視察

【Global Report】欧州最大の港 ロッテルダム港を視察

(連載第9回)新興国の物流最前線

昨年11月、調査のためにオランダとドイツへ行ってきました。今回はその際に見てきた、欧州最大のコンテナ港湾、ロッテルダム港を中心にご報告いたします。

ロッテルダム港にはコンテナターミナルが12ヵ所あります。大きくは、マースフラクテ(外洋側)と、ワールハーフェン(河川側)と呼ばれる2つの地域に分かれ、前者が主要なターミナルとなっています。ロッテルダム港の東西の長さは全長40km。そのうちコンテナターミナルの面積は約850haで、東京港(約150ha)の5倍以上。年間コンテナ取扱量は1,230万TEU(2014年)で世界第11位、欧州最大のコンテナ港湾です。

ロッテルダム港にはコンテナ船専用ターミナルだけでなく、バージ専用のターミナルも設けられ、さらに鉄道引き込み線がターミナル内まで延びる“オンドックレール”があり、鉄道輸送との結節点にもなっています。
そのため、同港に集まるコンテナ貨物は、トラック輸送(53.4%)、鉄道輸送(10.9%)、河川輸送(35.7%)といった多様な輸送モードで欧州各国へ輸送されています(2014年)。

今回の調査では、マースフラクテ地域にあるECT(ロッテルダム港のターミナルオペレーター)が運営する最大のコンテナターミナル・Delta Terminal(総面積:265ha)を視察し、AGV(Automatic Guided Vehicle)を見ることができました。AGVは、ガントリークレーンとコンテナヤード間を完全自動運転でコンテナ搬送することのできる無人台車です。路面には動線センサーが埋め込まれ、中央司令室から送信される走行指示に従って、そのレイアウトされた経路をトレースして走行し、コンテナを搬送します。

図:コンテナの搬送を行うAGV

その他、自動スタッキングクレーン(ASC:Automatic Stacking Crane)も導入されており、ガントリークレーン(有人)で船から卸されたコンテナは、AGV(無人)で搬送された後、ASC(無人)でコンテナヤードに卸されます。
鉄道への積替えでは、ヤードに一時保管されたコンテナが、“コンテナ・トレイン”(有人)という構内用の多両連結トレーラーで搬送され、鉄道用のクレーン(無人)で貨車に積載されます。トラックへの積替えでは、トレーラーが専用ゲートにずらりと並んで待機し、ストラドルキャリア(有人)がコンテナヤードからコンテナを搬送し、トレーラーに積み込みます。
こうしたロッテルダム港の荷役自動化は、驚くことに20年以上も前、1993年から進められていました。

図:コンテナ荷卸しから搬送までの流れ

今回の調査では直接見ることができませんでしたが、現在新設・拡張工事中(一部は供用開始済)のターミナル「マースフラクテII」では、ガントリークレーンのオペレーションまでもが遠隔操作となっており、完全無人で荷役されているようです。

隣国のドイツでは、政府、産業界、学界が総力を挙げて「インダストリー4.0」と呼ばれる巨大プロジェクトに取組んでいます。インダストリー4.0とは、「第4の産業革命」を意味し、工業のデジタル化によって製造コストが大幅に削減され、21世紀の製造業の様相を根本的に変革しようというものです。
もともとは製造業から発信されたものですが、欧州をはじめとする世界中の物流機能や港湾機能も同様に、ますますIT化や全自動化が進んでいくでしょう。

次回はそのドイツにあるハンブルグ港、デュイスブルク港についてご報告いたします。

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この記事の著者

◆出身地:千葉県館山市 ◆血液型:A 型 ◆趣味:旅行(たまに)・カメラ(少し)・麺巡り(結構)・ゴルフ(最近)
2005 年 東洋大学 大学院 工学研究科建築学専攻 卒業
【得意分野】 ・トラック輸送、鉄道輸送、緊急物資輸送、インターモーダル輸送に関する物流調査

近年弊社では、国際物流に関する調査案件が増え、今回、私も微力ながらメキシコ~アメリカの北米調査に参加しました。やはり海外へ行くと、日本とは異なる文化や慣習に多く気づかされ、大変刺激となります。学生時代は、日本と異なる世界を見たいと、一生懸命お金を貯めて、海外へ一人旅に出たものです。
今回のメキシコを中心とした北米調査でとても刺激的だったのは、道路では長大な 53ft のダブルストレーラーが多く走り、鉄道では 53ft コンテナが主流となっていたことを見たことでしょうか。メキシコもアメリカの影響を受けて変化しています。世界各国でもこのように輸送効率化を求め、今後ますます輸送単位は大型化していくのでしょうか。その時、日本はどのように対応していかなければならなくなるのでしょう?
実体験による驚きも加わり、今では世界の動向から目が離せません。今後も海外調査案件を通して、皆様に刺激となるお話しを提供できたら、と思っています。

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