【Logistics Report】データ取得の重要性 ~「ろじたん」導入現場で感じたこと~
「『管理』ってどういう意味で使っているの?」私は入社当初、この質問への答えに詰まりました。確かに一言で「管理」といっても、具体的に説明するのは難しいです。当時の上司からは、「管理とはPDCAだ」と教わりました。『管理の本質』(藤本俊 ダイヤモンド社 1993)では、「Action:何をするか決める、Plan:計画を立てる、現在の組織と運営を見直す、Do:指令する、調整統制する、Check:計画と実績の差を評価、反省するというサイクルを回すこと」と記述されており、私は「コストや利益、その基となる行動データを使ってPDCAサイクルを回していくこと」と考えています。そして、PDCAサイクルを素早く回していくためには、生産性などの行動データを取って、迅速に異常や問題点を発見していく必要があります。
倉庫作業分析ツール「ろじたん」の導入支援を行っていく中で、この「管理」になくてはならないデータの重要性について、身に染みて感じるようになりました。たとえば、倉庫内で問題が起きたとき、解決しようとしても詳細な作業時間データを把握していないと、何が原因なのかわからず、対策が現場の感覚に頼ったものになるかもしれません。しかし、「データがなくてもそんなのわかるよ」ということもありますし、データ自体の計測が曖昧で、データの信憑性が低い場合もあります。感覚的なものが必ずしも間違っているということはありませんが、データがないとわからないことがあるのも事実です。詳細なデータを取ることで、何が原因か細かいレベルで検証でき、日々の傾向把握や、過去や特異日(イレギュラー対応日など)と比較することも可能となり、問題の洗い出しに非常に役に立ちます。
さらに重要なことは、データは誰が見ても明らかだということです。「これはこう思う。」に対して「じゃあその根拠は何?」を繰り返し聞いていくと、最終的にはデータによる根拠が、一番説得力があります。
たとえば、出荷時刻の遅れが生じた場合、「ピッキングと梱包で通常より5時間、20%以上時間を要していて、特にイレギュラー作業に2時間かかってしまった。」と説明すると、スムーズに伝わり説得力も増します。このように、データはコミュニケーションツールとしても有効です。ただし、データを使用する際には注意が必要で、その計測条件をきちんと確認しなければいけません。サンプル数や、その対象、期間、計測場所、その他様々な条件によって、データ自体が意味する内容が変動するからです。この条件に気をつけてデータを活用すれば、原因が何かを論理的に突き詰めることができ、さらに「何がわかって、何がわからないか」を把握することができるようになります。
「ろじたん」を使った分析からわかったことは、ピッキングや加工、梱包といった作業をさらに細分化して計測すると、作業の中で何が作業時間偏重の原因になっているのかを特定することができ、また、作業別生産性から必要予測人員を算出し実績人員と比較することで、人の過不足がどのくらいあるのかといったことを明確に示すことができるということです。問題把握のためのツールとして有効であると感じています。