ロジスティクス部門において物流管理および現場改善強化を推進するためには、物流をデジタル化し、複合的なデータを活用することが不可欠であると言えます。前者はIoTサービスの登場やオープンデータ化の推進により、あらゆる情報が取得できるようになりつつあります。物流業界ではありませんが、最近ではレシートを10円で買取する企業も現れ、データ取得の重要性が認知されつつあります。
物流・在庫管理におけるデータ活用の推進状況
では、物流における取得したデータ群を組み合わせた新たな価値の創出・活用が出来ている企業はどの程度あるでしょうか。以下の図表は、総務省が公表している事業機能別のデータの活用状況および効果達成率の調査結果です。
<図表1>データの活用状況
出典:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h27_03_houkoku.pdf
<図表2>データ活用の効果達成率
出典:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h27_03_houkoku.pdf
<図表1>では、物流・在庫管理では全体で18.6%と、データ活用が出来ている企業は相対的に見て少ないことが伺えます。一方で<図表2>によれば、データ活用をしている企業の中で効果を生み出せた企業(効果達成率)は物流・在庫管理部門が67%と、各領域で最も高い達成率であることが分かります。つまり物流・在庫管理は「データ活用の推進はこれからであるが、取り組みが進めば効果を見込むことができる領域」であるのではないでしょうか。
ロジスティクス部門でデータ活用を推進するためには「データ分析専門チームの結成」が必要であると考えます。あまり取り組まれていませんが、少しご紹介致します。
データ分析専門チームの結成
物流データの活用が進まない理由の1つに、物流データを専門に扱うことのできる人材が少ないことが挙げられます。またロジスティクス部門では日々のオペレーションに追われてデータ分析業務が後回しになりがちです。つまり、ロジスティクス部門には「データ分析スキルと時間が不足している」という課題があります。それを解決するために、データ分析専門チームを結成します。データサイエンティストと呼ばれる、データ分析による価値創造を行うことが出来る人材を組織に取り込むことで、これからのIoT時代のデータ群から得られた情報を元に、管理レベル強化および改善サイクルの高速化を目指します。
さらに専門チームの結成により、最新の分析ツールを用いた手法を取り入れることも可能となるでしょう。データ分析を行う際、多くの企業はExcelやAccessを使用しています。実際に数百万レコードであれば何とか集計・分析に活用できると思います。しかしこれからのIoT時代では、取得可能なデータの種類・量が圧倒的に増加します。それと同時に「スグに見えること」「専門的な分析が行えること」が求められるため、Excel・Accessでは限界があります。例えば「スグに見えること」で言えば、Business Intelligence(以下、BI)ツールを活用したダッシュボード化の取り組みが各企業で行われています。Excelではデータ集計毎に同じような作業を繰り返して実施するケースがほとんどですが、BIでは1,000万を超える大量のデータ集計の手間がかからず、瞬時に状況を可視化することができます。
以上のように、データ分析専門チームを結成することで情報を上手く活用し、高速で効果を生み出すロジスティクス部門を目指すことができるのではないでしょうか。
まとめ
今後、ロジスティクス部門は「あらゆる情報を取得していること」「取得情報がすぐにチェックできること」「その情報から付加価値を見出せること」が重要なミッションになります。情報プラットフォームを整備するとともに、データ活用に力を入れた組織作りに期待したいと思います。