【Trend Report】ヨーロッパ最大のコンシューマエレクトロニクスショー“IFA”参加
IFA
今回参加したIFAは、Internationale Funkausstellungの略称で、欧州最大の家電見本市です。主にデジタル家電および白物家電メーカーがその新製品を一斉に発表するイベントで、すでに90年以上の歴史があります。参加社数は1800社を超え、ビジネス関係者だけでなく、一般ユーザー(家族連れも!)も非常に多く参加していました。この点では他の展示会で経験した雰囲気と違うのかもしれません。
キーワード
今年もメインのキーワードとしては、“Connected“が挙げられると思います。家庭用電気製品がすべてネットワークで接続され、各製品を効率的に利用していこうという考え方です。これは、ここ数年の家電業界のトレンドになっており、製品の利用状況や置かれた環境を把握するだけでなく、インプットとアウトプットをどのように行うのかといった情報の流し方にも重きが置かれていました。
音声入力ツールが本格始動か
“Connected”が叫ばれている中で、最も目立った存在はAmazonの“Echo”でした。“Echo”はAmazonのAIである『Alexa』を搭載した音声入力デバイス(スピーカー)です。すでに多くの大手家電メーカーが入力ツールとして“Echo”対応型の製品を発表しており、音声入力の標準形となるのではないかというくらいの勢いが感じられます。
現段階では、英語対応はもちろんのこと、今年ドイツ語対応版も発表されましたが、日本語対応版は未定とのこと。日本国内では、すでに日本語対応型を発表しているGoogle Homeの方が先行するかもしれません。
ドイツメーカー最先端“家電”
家電専門メーカーではありませんが、ドイツの大手総合産業機器メーカーであるBoschとSiemensは、各々のAI技術を取り入れた生活家電を展示、アピールしていました。
まずBoschですが、ソフトバンクの“ペッパー”のような、ヒューマノイドタイプのロボット“Mykie”を紹介しており、家の中をすべてこのMykieで管理しようとしています。冷蔵庫の中の在庫確認もMykie経由(Amazon Echo→MykieといったInputの流れもあり)で行うこともできるのです。
とりわけ画像認識技術を重要視しており、冷蔵庫を閉める時にフラッシュがたかれ庫内の画像を複数撮影し、画像認識技術により種類と個数を認識し、在庫管理を行っています。たとえばトマトとリンゴ、レモンとグレープフルーツなど、似ているものも明確に識別できるとのことです(写真1)。
写真1:冷蔵庫内の在庫チェック画面
また、Siemensもスマート家電を多く紹介していましたが、なかでも“X-Spect”というハンディ端末が特徴的でした。協力企業と開発したセンサーで、衣類の素材すべてをスキャンして読み取り(たとえば、コットン、ポリエステル、羊毛など)、洗濯に最適な水温、回転数、洗剤の種類などを算出する、世界初の繊維認識端末だそうです(写真2)。読み取った算出結果を洗濯機に送信することで最適な衣類の洗濯を実現するというものです。ただし、そこまで最適化する必要性がユーザー側にあるのか、別の利用方法を模索したほうがよいのではないかと思うところもあります。なお、X-Spectには繊維以外のセンサー機能を強化する予定もあるとのことです。
写真2:X-Spect スマートランドリー端末
上記以外にもSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術の家電製品への応用など、各社が様々な技術を紹介していました。これらの技術が今後物流分野でどのように生かされ製品化されていくのか、どのように繋がっていくのかを考えるだけでもワクワクしてきます。