JR東日本が10月中旬からJR赤羽駅の構内に実験用の無人店舗を設けました。テレビニュースを含む多くのメディアでも取り上げられたのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。この店舗ではサインポストという会社の「スーパーワンダーレジ」を利用しています。スーパーワンダーレジとは同社が「独自開発した「SPAI」と画像認識技術、物体追跡技術を活用した無人レジシステム(同社サイトより)」とのことです。
写真2:実験店舗の外景(筆者撮影 赤羽駅プラットフォーム5・6番線にあります)
筆者も赤羽駅まで行って実際に買い物をしてみました。しかしながら店外にいた係員の方に「店内は撮影禁止」と言われたため、読者の皆様にイメージを掴んで頂く画像がありません。よってサインポスト社がユーチューブに上げているイメージ動画と、ITメディアビジネスオンラインの記事「JR赤羽駅のAI無人店舗を体験してみた」のリンクを置いておきます。どんなものか良くご理解頂けると思います。
Amazon Goストアと赤羽駅店舗の両方に行った者として感じたのは、赤羽駅の方が圧倒的に小さくて狭い、です。駅のホームにありキオスクの無人化を想定しているそうなので、当たり前と言えばそうなのでしょう。実験中は一度に3人までしか店舗に入れないようにしているそうです。店舗への入場にはSUICAなどの交通ICカードをかざすことが必須です。筆者はPASMOを使用しました。店舗を出る前に精算をしますが、これもICカードでしかできません。但し入場時にかざしたカードと精算時のカードは別でもいいそうです。これだと入場時に使ったカードに十分金額がチャージされていなかった時に別のカードで払う、ということができます。筆者は入場に使用したPASMOをそのまま精算にも使いました。
店舗内は一方通行になっており、通路は大人2人がすれ違うのがやっとです(筆者が太っているからか…?)。譲り合えば「やっぱり入り口付近にあったヨーグルトを取ろう」と通路を戻ることは十分できます。コンパクトな店舗のサイズのため取り扱っている商品数もAmazon Goストアと比較すれば随分少ないと感じます。また天井が低いためカメラが目に入ります。鈍感な筆者はあまり気にしませんが、「一挙一動を見られている感」が気になる人はいるかも知れません。但し、いわゆる昔の監視カメラのような形状ではないので、ハードウェアに詳しくない人はカメラだと気づかないかもしれません。
品物をいくつか取ったり戻したりしながら、最終的にドリンク1つと菓子パン1つを手に持って出口に行きます。品物にはバーコードは付いていますが、筆者が自身で何かにスキャンすることはありません。精算の場に立つと、店内のカメラが、筆者が何を取り、何を戻し、最終的に何を持っているかを画像認識により判断した「最終的に買って店外に持ち出すもの」を液晶画面に映し出します。筆者の場合は正しい表記がされていたので、PASMOをかざして精算し、出口のゲートが空いて外に出て終了です(精算すると紙のレシートが出てきます)。
赤羽駅の実験店舗は「チェックアウト(レジ)無し」にはなってはいませんが、買い物客自身がバーコードをスキャンするなどの行為をせず、画像認識で自動的に判定しています。技術的にはAmazon Goのようにスマートフォンのアプリを使う、スマートフォン用のモバイルSUICAや記名式の交通ICカードで入場する、などにすれば、「チェックアウト(レジ)無し」も十分対応可能と思われます。
今回は店舗が小さい、商品が少ない、一度に店内に入れる人数を制限している、などの制約はあったものの、正しい認識をした無人店舗を体験できました。JR東日本ということで駅構内の小規模店舗(キオスク)を想定しているとのことです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、有人キオスクの店員の方のスキルってスゴイんですよね。朝のラッシュ時などには次から次へと来る客、多数の商品、支払方法(現金、ICカード)をそれこそ「パッパッパ」と素早く正確に捌いていくのは職人芸です。そういった方々が近い将来いなくなるので無人化を進めるのも一つの大きな理由だと推測しますが、現在の規模・商品数だと「自販機でいいのでは」となってしまうかもしれません。トライアル&エラーの実験が続きそうです。
尚、赤羽駅での実験店舗は12月中旬までの予定だそうです。ご興味のある方はお急ぎ赤羽まで。