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段ボール箱が輸送中に潰れるわけ

【Logistics Report】段ボール箱が輸送中に潰れるわけ

第6回記事の最後に、「包装材や梱包材の水分量に関しては圧力の強度に影響する」と記しましたので、本稿では輸送中に湿度によって段ボール箱が潰れるメカニズムについて解説したいと思います。

段ボール箱が潰れるのは、強度不足が原因ですが、なぜ「強度が不足する」という事態になるのでしょうか。段ボール箱の強度は、原料であるクラフト紙の量(重いほど強い)と、「中しん」と呼ばれる中間に挟まれた紙の波の数、「シングル(正式名、両面段ボール)」や「ダブル(正式名、複両面段ボール)」と呼ばれる重ねた層の数、段ボール箱の縦、横、高さの寸法により決定されます。
つまり、パレットに積み付けられて輸送される場合、1パレットに何段段ボールを積み、保管時に何パレット積むかがわかれば段ボール箱強度は設計でき、安全に輸送することができます。

図 1:空気中の相対湿度と段ボールの水分との平衡地
出所:包装管理士講座/専門科目:輸送包装コーステキスト

図 2:段ボール箱の水分と圧縮強さの関係
出所:包装管理士講座/専門科目:輸送包装コースのテキスト

しかし、皆さんもご存じのように、段ボール箱は大変水(湿度)に弱く、水分を含む量(含水率)と相対湿度によって、その強度は大きく左右されます(図1)。

図2は、段ボール箱の水分が高くなるほど箱圧縮強度が低くなることを示しています。
4本の線は、異なる段ボール種別ごとの強度差を示していますが、種別に関係なく一様に劣化することが解ります。段ボール箱は、含水率が8~9%の時に最も高い強度を示していますが、夏季や海上コンテナ輸送時など、相対湿度が80%を超える状況になると含水率は15%を超え、強度は半分以下に劣化してしまいます。

この他、段ボール箱はパレットへの積み付け方によっても強度が落ちることが知られています。段ボール箱は箱全体に均等に荷重が掛かる前提で強度を設計しています。
したがって「棒積み」(図3)が最も強いことになります。

図 3 棒積みモデル

図 4 交互積みモデル

図 5 積み付けのズレ

これに対し、荷崩れを防止するためによく用いられる積み付け方として、「交互積み」(図4)や「レンガ積み」、「回し積み」などの積み付け方があります。

段ボール箱は、まっすぐ積まれた状態を強度100%とした場合、約13㎜ズレることによって強度が29%劣化します。倉庫内の適正な環境で保管された「棒積み」でズレが起きた場合は12~21%の劣化ですが、「交互積み」でズレが起きると、実に54~61%も劣化します。
湿度により強度が半分に劣化した段ボール箱が、積み付け方でさらに強度が落ちてしまうことになります。
「棒積み」は安全率で対処できる範囲内かと思いますが、海上コンテナを使って輸出する場合、上記のようなダンボール箱の強度劣化を考慮して、段ボール箱の設計およびパレット積み付けの設計をしなければなりません。

段ボール箱の強度特性を知らずに、コスト面だけを考えて安い物に変えてしまうと、材質を落とさざるを得なくなり強度が劣化して荷物が潰れてしまうという事態に陥るので、注意が必要です。

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