【Logistics Report】マラソンも物流も、KPIは身近な数値で
ここ数年、知り合いの中でもマラソンへ挑戦する人が増えてきています。私もブームに乗っかり、5年前からフルマラソンを始めた便乗ランナーのひとりです。
フルマラソンに参加するのは年1回程度。そんな私でもフィニッシュタイムは少なからず気にしており、1年を通じて目標としている数字もあります。
残念ながら日頃の練習不足で、タイムは思うように伸びておりませんが・・・。
みなさんの中には、いわゆるKPI(Key Performance Indicator)を設定し、その数値を定期的に確認することで、現場のパフォーマンスをチェックされている方も多いことと思います。では、マラソンで例えるならKPIは何に該当するでしょうか。フィニッシュタイムでしょうか。それともラップタイムでしょうか。
仮にフィニッシュタイム4時間切り(マラソン用語で“サブフォー”といいます)という目標を立てた場合、フィニッシュタイムはKPIとなり得ません。この場合、フィニッシュタイムはKGI(Key Goal Indicator)となり、それを達成するために構成される重要な指標がKPIとなります。
マラソン大会当日だけを考えれば、10km毎や1km毎のラップタイムが該当します。さらに練習から考えるのであれば、1カ月間の走行距離、練習回数、5kmランのタイムなどもそれに当たります。つまり、目標達成へ向けたプロセスを「具体的かつ身近に管理できる数値」と考えていただければよいのです。
「KPIは体系的に階層化して管理すべし!」これは当社の諸先輩方からの教えです。確かに教科書的にいうならば、階層化して管理する方が理想的です。
なぜなら図のように、どこで改善を行い、その結果が目標達成へ向けてどこまで改善されたかを確認することができるからです。
図:出荷生産性の管理
例えば、荷役コストを改善したいということであれば、図の出荷生産性よりも、その一階層下のピッキング生産性を見る方がわかりやすく、管理も行いやすいといえます。
さらに、生産性向上の手段として、動線の短縮を図るということであれば、ピッキング歩数(行あたり歩数)を管理する方が、その変化を把握しやすいといえるでしょう。
このようにKPIは階層化して管理することで、目標達成へ向けた数値改善のプロセスを、具体的な手段から追って確認することができます。
一方、先ほど教科書的と申し上げたのは、練習もせずにいきなりフルマラソンに挑戦すること、筋トレでいきなり100kgのバーベルを持ち上げることは難しい、つまり最初から深いレベルまで階層化して理想形を管理することは無茶であり、お勧めできないということです。
恐らく、継続して実施すること自体が苦痛になってくるでしょう。
皆様も何らかのKPIを設定、既に管理されていると思いますが、まずは次の4つの考え方を意識していただくとよいと考えます。
- ①体系化・階層化する
- ②具体的かつ身近な数値を使う
- ③無理のない範囲で行う
- ④必要に応じて拡張する
今回は荷役を中心に取り上げましたが、保管効率や品質などについても考え方は同様です。まずは簡単にできそうな部分からトライしてみてください。