倉庫改善の一つに水すましの配置というものがあります。水すましとは一体どういう存在なのか。また、水すましの配置によってどのような倉庫改善が行われるのか、事例をご紹介します。
水すましとは
各工程で必要とする部品や材料等を供給する作業者を水すましと呼びます。名前の由来は、昆虫の水すましが水の上を旋回する様子と、作業者が部品や材料を供給する様子が類似していることから、水すましと呼ばれるようになったそうです。該当作業全体を把握する能力と、それぞれの工程で必要な部品や材料を的確に供給する能力が必要な役割となります。以下に水すましの配置による改善事例をご紹介します。
水すまし配置の事例1:検品梱包場の梱包資材供給
改善前
各梱包場にストックされた梱包箱が無くなった場合、作業者が各自で梱包資材置き場まで取りに行っておりました。梱包卓から出て資材を取りに行くための台車を準備し、自分で必要な分のみ梱包資材を取得後、自分の卓まで戻って資材を補充しておりました。梱包者が資材補充のために卓から離れることによって、上流工程からの未梱包商品がライン上に滞留し、上流工程をストップさせる一因となっておりました。
改善後
梱包資材を供給する専門の水すましを配置しました。各卓で消費率の高い資材を把握しながら、作業者が資材不足によって手を止めることが無いように梱包資材を適宜供給することによって、梱包作業の進捗遅れによる上流工程ストップが無くなり、生産性が向上しました。
水すまし配置の事例2:ピッキング用リストとカゴの準備
改善前
マルチピッキング現場にて、ピッキングした商品を入れるためのカゴとピッキングリストの取得を各作業者が実施していました。そのため、ピッキング作業者が戻ってくるタイミングが被ると、カゴ置き場とピッキングリスト置き場周辺に作業者の滞留が発生しておりました。また、ピッキングリストもピッキングゾーン毎にソートされておらず、無駄な動線が発生しておりました。
改善後
カゴとピッキングリストを供給する専門の水すましを配置しました。効率的に周回可能なピッキングリストをソートし、事前にピッキング用のカゴへセットしておくことにより、ピッキング作業者はピッキング作業に集中できるようになりました。さらにピッキングリストソートによる作業動線短縮によって、生産性が向上しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。事例1や事例2のように、作業者が各自で行っている作業、且つ、その作業が主体業務ではない場合は、該当作業を切り出し、水すましの配置を考えてみる価値はあります。しかし、闇雲に配置しても無駄となってしまう可能性があるため、水すましを配置すべきか否かを判断するためには、何よりも先ず現在の作業時間把握が重要となります。